お客さんから依頼をしていただいた、SRです
依頼のテーマは 「ノーマルみたい」
です
これまでにない、新しい依頼です
とりあえずベース車がフロントがディスクのSR400だったので仕入れました
いつもよりものすごく悩みます
ノーマルみたい ・・ ノーマルじゃなくて、ノーマルみたい・・・
新境地が開けるかもしれない予感です

何度かのメールで相談させていただいて、大体のイメージが伝わってきました
これまでの「びっくりさせたろ」という感覚の作り方ではなくて、「忠実にお客さんのイメージを形にする」ことが今回は大事です

昨日よく飲みに行く洋平君と匠について話しました
洋平君は建築家の玉子です
「匠の作る家はかっこいいけど住みにくい 昔からある家が一番住みやすい」
多分、今回の依頼もそういったことなんだと思います
飽きない、オーソドックスな乗りやすいバイク
それが今回のテーマととらえます

 

ここで遠く離れたお客さんとの打ち合わせのために、具体案を画像にしてお送りします 
「どっちがいいですか?」てな具合です
僕の好きなハスラータンクを選んでくれました

  

シートは一番左をタックロールに張り替えることになりました
かなりスタイルも決まってきました

ヘッドライトもこれでOKです

特に悪いことは無かったのですが、走りに関してこだわりのあるオーナーですので、一応オーバーホールをします
フォークスプリングも強化タイプに変更し、旧車の足回りを改善します

ホイールもつや消しで真っ黒に塗られた汚いものです
オーナーの意向でホイール、ハブは黒、スポークはメッキにします
ベアリングはいい感じです

リアサスも汚いです
ばねのへたりは無く、オイルのにじみもありません
レストアします

スイッチをレストアしました
ハゲハゲの黒ペイントで動きも渋かったので、一度全部ばらし、ボディーはブラスト、接点はすべてグリスアップで、見た目、動き共に最高の状態になりました
ペイントでもいいのですが、塗料は剥げます
ブラストはアルミの地肌なので、剥げることはありません
ブラストが好きです

シリンダーヘッドをレストアしました
バルブの刷り合わせと、鏡面研磨、ステムシールの交換です
乗ってもあまり体感できるところではありませんが、気持の問題です

次いで、ワイセコピストンでボアアップしました
423ccです

ホイールのレストアが終りました
ハブはフラットの黒、リムは赤っぽい黒、ニップル、スポークは新品です
綺麗です
ベアリングもいい感じで、足回りはばっちりです

次に前足です
SRには一番相性がいい!!と評判のG-flexです
ノーマルと比べると見た目に、ピッチが細かいです

アウターを黒に塗って、前足完成です
こうしてすこしづつ形になっていくのは、僕も楽しいですが、オーナーも楽しいはずです

そして、ふと作業場に目をやると単気筒エンジンが4つも転がっています
3つはSR もう一つはエストレアです
もう何が何か分かりません

リペイントされたフレームに、内外レストアされたエンジンを載せます
この作業が一番助手もびびりながらやっています
マウントをすべてつけたときには2人で「ふー」って感じです

いいです
最高です

リアショックも綺麗にしました
ボディー、上のカバー部分を黒に塗って、スプリングをメッキしました
これまた、いいです

ブレーキキャリパーもレストアしました
オーバーホールをして、ボディーはブラスト、サポートはペイントです
シール類、パッド、ボルトステンレス化と共に、動きもスムーズでいい感じです
ブレーキオイルはペイントを溶かします
キャリパーはペイントをしないのが、安心です

リアフェンダーはあえてノーマルを使います
カスタム車にありがちな「雨の日は乗れない」では、オーナーの意思から外れます
ぺらぺらのフェンダーではノーマルっぽさも消えてしまいます
こうしてみてみると、結構いけてます
SRのノーマルフェンダーって・
それに加え、タンデムライダーも安心のステンレスグラブバーを追加、スイングアームはペイントで決めました

足をつけて、骨組みは結構出来ました
ミシュランのタイヤにホワイトレターをかまし、ぐっとスポーツ感が出ました
落ち着いた渋いイメージで、思惑通りに形になってきました

マスターシリンダーもレストアしています
こちらもブレーキ液に侵されないように、ブラストで決めました
長期にわたって、綺麗に乗って欲しいです

完成しました
今まで作ったバイクの中で、一二を争うほどの、乗りやすさです
”ノーマルみたい”な乗り心地です
これによりお客さんからの依頼の半分はクリアーしました
タンクはハスラーですが、これまたいけてます
ラインと、カラーはお客さんのオーダーです
渋系です

マフラーはノーマルですが、車体下のほうの還元用ダクトを切り離しましたので、かなりの軽量化を実現しました
と同時に、出口のパネルを何枚かカットしていますので、ノーマルルックの少し響くサイレンサーになりました

すごくオーソドックスなスタイルです
それがお客さんの依頼でした
最初はかなり戸惑いがありましたが、出来てみるといいモンです
乗ってこそのバイクですし、どんなにかっこよくても、乗らないと意味がありません
その両立はとっても難しいです
今回の仕事のおかげで、またバランス感覚が研ぎ澄まされてきました

クラッチレバーは定番DRC製ライトクラッチレバーです
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